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事業の位置づけを考える方法

例えば、自分達の塾をどのような位置づけにしていきたいのか。大手塾のようになりたいと考えたとしても、そのあり方はどうすべきなのか。

 

集団指導なのか、個別指導なのか。学習範囲は進学をメインとするのか、補習をメインとするのか。

 

進学の中にも、超難関までを範囲に収めるのか、早慶レベルまでを最大範囲とするのか。補習といっても、学習障害をかかえているような生徒や不良生徒までを範囲に収めるのか、あるいは、最底辺層を排除して、公立高校受験をメインとするのか。

 

これらの選択は、自分達がどういった顧客をターゲットすべきなのかということと密接に関わってきます。同時に、講師の能力によって、ターゲットを決めざるを得ないという側面もあります。

 

講師能力が顧客ターゲットを制約する

例えば、進学塾という位置づけをアピールしたいのであれば、いわゆる「お受験」に対応していることを示さなければなりません。つまり、早慶付属高校コースを用意したり、超難関と言われているような学芸大附属や筑駒、開成コースを用意したりしなければなりません。もちろんコースを用意するだけでなく、実績も残さなければなりません。

 

「進学塾」としてのトップブランドを確立している塾を思い浮かべて下さい。例えば、SAPIX、浜学園をトップとして、その次に続く栄光ゼミナール、湘南ゼミナール、臨海セミナー、類塾など。上の通りになっているはずです。

 

すると、これら「お受験」に対応できる能力をもった講師がいなければ、そもそも進学塾としての位置づけをアピールすることはできません。当たり前ですが、教えることができないのですから、合格させることもできないからです。

 

では、こういった超難関高校受験コースを教えることができる講師の条件とは何でしょうか。第一に、超難関受験に特化した塾で働いていた経験がある(SAPIXや日能研、浜学園)か、第2に、自分自身が超難関高校受験を経験し、かつ合格した経験のある人です。

 

もちろん、これら2つの条件を満たしていない講師でも、独自に研究を重ねれば教えることもできるかもしれませんが、2つの条件を満たしている講師に勝てる可能性はほとんどないので得策ではありません。

 

よって、現状の講師力を客観的に判断し、「進学塾」になれないのであれば、「進学塾」のようになりたいと思う事自体が絵空事になるので、それは大きな勘違いとなります。

 

であれば、超難関コースに対応できる講師を雇えば良いではないか、と思うかもしれませんが、それも難しいです。なぜなら、本当に、そういった講師を探せるのか?ということです。超難関コースに対応できる講師は、高学歴で話も上手く受験研究を趣味にしているような、ある種の職人です。そういう職人というのは、基本的に優秀な職人に惹かれるものです。自分自身が、受験職人でなければ、超難関コースを担当できる講師を探すことも現実的に難しいでしょう。

 

つまり個人塾というものは、開業した時の講師の能力によって、ほぼ対象とするターゲットは制約されているのです。そこを直視せずに「栄光のようになりたい、湘南のようになりたい」と思っても、それは単なる妄想に終わります。妄想に取りつかれつづけていると、現実に合わない意志決定を犯し、重大な失敗を犯してしまう可能性があるので要注意です。

 

事業立地という考え方

事業立地という考えがあります。これは神戸大学の三品教授が説明している概念です。簡単にいえば「誰に、何を、どのように販売するか」という事業を行う上での基本的な型のようなものです。三品教授は、「事業の成長性は、この事業立地によって決まってしまう」ということを説得力もって主張しています。

 

例えば、音楽業界でジャズシンガーを目指すとします。すると、このジャズシンガーの事業立地は「ジャズファンに、ジャズの歌を、CDやライブで販売する」となります。この事業立地にたった以上、ジャズシンガーとして業界トップになったとしても事業の成長性には限界があります。一方で、アイドル歌手を目指すとすると、「アイドルファンに、アイドルとの疑似恋愛を、CDやライブなどで販売する」という事業立地にたった途端に、事業の成長性はジャズシンガーとは比べ物にならないくらいものになります。これが事業立地の力です。

 

やっと本題に入ることができます。つまり、個人塾とは開業した時の講師の能力にとって、事業立地は確定しているということです。

 

私たちの個人塾では、講師は超難関コースを担当できる力をもっていません。故に、自分達の想いとは別に「補習塾」にならざるを得ません。また、世の中の個人塾のほとんどは、この「補習塾」であるのではないかと思います。

 

ということは、多くの個人塾の事業立地は「偏差値40~60くらいの生徒達に、定期テスト対策や公立高校受験を中心にした学習支援を、集団授業を通じて販売する」となります。

 

ここで、下記の分布図をみてください。この事業立地は実は最も市場規模が大きいことが見てとれます。市場全体の6割程度を抑えているだろうと思います。

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個人塾がたくさんある理由は、その事業立地が優れているからと考えることもできそうです。

 

一方で、進学塾のターゲットは、偏差値65~75くらいになるので、市場全体の7%程度くらいのものとなります。実際には、65~75にさせたい偏差値60前後の生徒も来ますから、市場規模としては30%あるかないかくらいでしょうか。いずれにせよ、比較的小さな市場規模で凌ぎを削っているわけですから、多くの進学塾は何とかして「補習塾市場」を食おうとしてきます。

 

逆に、「補習塾」である我々は、わざわざ「進学塾市場」に攻撃を仕掛ける必要はありません。補習塾としての資産や強みを磨いていき、今後予想される大手からの攻撃に耐えられるような方針を描く必要があります。

 

事業立地の変更は、とても難しい

実は三品教授は、もうひとつ重要な指摘をしています。それは、事業立地の変更は難しいということです。

 

例えば、栄光ゼミナールは進学塾としてのブランドを一生懸命築き上げてきたわけですし、そのブランド築くために社内体制を整備したはずです。そういった状況から、まったく方針の異なる「補習塾」へ事業立地を鞍替えするのは困難なはずです。

 

別ブランド化すれば良いと思うかもしれませんが、別ブランドにしたら、単なる新参者になり集客が難しくなるので、結局、合理的に考えれば「栄光ブランド」に頼らざるを得なくなるわけです。

 

ですから事業立地の鞍替えは、かなり難しいのです。

 

これは補習塾にも同じことがいえます。進学塾になりたくてもなれない。しかも、補習塾は事業立地が進学塾より優れているのですから、補習塾としての能力を磨いていくことが大事になります。

 

このようなことで、事業のビジョンは、世間的な価値観(進学塾の方が良い)等にバイアスをかけられることなく、自身の能力と立地を勘案して考えていきましょう。そうしなければ、単なる妄想になってしまいます。

 

ちなみに三品さんの本を名著なので、お勧めです。

戦略不全の因果―1013社の明暗はどこで分かれたのか
三品 和広
東洋経済新報社
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