個別指導というシステムについて

今回は、最近流行の個別指導について考えてみたいと思います。

 

個別指導とは、現状に即した定義で考えると、先生1人に生徒1人~3人で行われる授業形態をメインとしている塾を指すことになります。明光義塾や個別指導学院、森塾などが、その最たる例で、先生1人対して生徒2人~3人で授業を行っています。

 

教室の形態は下記のような感じです。個別ブースが設置され、講師が生徒のあいだに入って色々と教えています。

 

これが個別指導の姿です。

 

個別指導の収益性

塾の収益性とは、先生一人あたりコストに対する売上高によって決まってきます。単純化すると、先生一人が抱えることのできる生徒数を増やせば、塾の収益性は改善されるということです。

 

ですから、集団授業型の塾と比較して、先生一人当たりの生徒数が少ない個別指導の収益性は確実に低くなります。収益性が悪い以上、生徒一人当たりの授業料を高くするか、もしくは講師の費用を下げるしかありません。

 

ただし、授業料が高過ぎても生徒は集まりません。だから、集団授業型の塾よりも若干高い価格にするのが目一杯のところ。しかし、月謝を少し高くする程度では、収益性の根本的な改善は望めません。

 

そこで、人件費の圧縮です。その方法は、まずアルバイト講師を雇います。そして、アルバイト講師には「時給ではなく授業のコマ単位で給料を支払う契約」をします。こうすることで、「1コマあたりの経費として人件費が計上される」ので、赤字になるリスクを避けることができます。このような方法で、個別指導は人件費を圧縮させ、収益を確保しています。ですが、集団指導型の塾と比較すると、収益性が低いことは間違いありません。

 

個別指導というビジネスモデルの妙

集団授業よりも収益性の低い個別指導が、なぜ流行っているのでしょうか。そこには、個別指導にしかしないビジネスモデルの妙があります。それは以下の2点に集約されます。

①生徒を個別ブースに押し込むことで、指導力のない講師でもOK

②一方で、「個別指導」というサービスは、保護者にとって説得力・訴求力がある

 

それぞれについて詳しく述べていきます。

 

①    生徒を個別ブースに押し込むことで、指導力のない講師でもOK

集団授業において最も必要とされるのは講師の指導力です。指導力のない先生ならばクラス運営は破滅し、生徒はすぐにいなくなってしまいます。そういった意味で、集団授業型の塾では、指導力のある先生を揃えることが塾経営に置いて最も重要な要素となります。ですが、こういった人材の確保は非常に難しく、そう簡単に見つけられるものではありません。

 

一方で、個別指導ならば、個別ブースに生徒を押し込むことで、生徒をほぼ監禁状態にさせますから講師の指導力は必要ありません。ということは、中学生の勉強内容をそこそこ理解している大学生であれば、ほぼ誰でも講師となれます。よって、難なく人材を確保することができます。また、仕事内容が集団授業型の塾講師と比べて随分と楽ですから、給与は集団授業型の講師アルバイトと比べ半分程度で済ますことができます。

 

これが何を意味するのでしょうか。それは、教室長は、そこそこの大学生を雇って、個別指導のシステムに組み込んでしまえば、それである程度ビジネスにできるということです。FC展開にとても有利ですね。

 

②    一方で、「個別指導」というサービスは、保護者にとって説得力・訴求力がある

これまで述べてきたとおりですから、個別指導には指導力という点で期待できるものはありません。また、生徒は孤立していますので、学校や集団塾のような競争意識を芽生えさせる機会もありません。よって、個別指導で生徒の成績が上がることは原則ありません。

 

それにも関わらず、個別指導は保護者の方々に高い訴求力を持っています。なぜなら、ほぼ1対1の状況で教えてもらうことほど親にとって安心できることはないからです。

 

また仮に生徒の成績が上がらなかったとしても、1対1で教えてもらっているという事実を盾に、保護者はクレームをつけにくい状況になります。

 

このように保護者への高い訴求力と、クレームのつけにくさから、たとえ個別指導の内容が空っぽだとしても、ビジネスは回っていきます。ますますFC展開に適していることが明らかになりました。

 

結局、個別指導って

ということで、個別指導は教育的観点から考えれば、かなり問題あるだろうと考えざるを得ない代物です。

一方で、そのビジネスモデルは、FC展開と非常に相性が良く、一気に広まっていくことになりました。

収益性は良くないですが、誰にでも始めることができ、かつ顧客への訴求力がある。マーケティングさえ上手くいけば、あなたもビジネスオーナーとしてお金持ちになれる!こうしてFC会員を増やしていったのでしょう。

個別指導は、塾というビジネスを突き詰めた結果生まれたニュータイプです。